労働保険とは?

 労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を総称した言葉で、保険給付は別々に行われますが、保険料の徴収等は労働保険として原則的に一体のものとして取り扱います(ただし、建設業は別々に徴収)。

 労働保険は、国が運営している「強制保険」です。

 原則として、労働者を一人でも使用していれば事業主は加入の手続きを行い、保険料を納めなければなりません。

 

加入するには?

 組合は、労働大臣の認可を受けた「労働保険事務組合」の資格があります。

 組合に事務委託することで、加入手続きや保険料の納付等を組合を通じて行うことができるので安心です。

 委託手続きには事業主の印鑑、保険料が必要ですが、事前にご連絡いただければ具体的にご説明いたします。

 

労働者災害補償保険とは?

 労働者災害補償保険は、業務上または通勤による労働者の負傷、疾病、障害または死亡に対して保険給付等を行うものであり、労働者を一人でも使用する事業を強制加入としています。

 建設業においては、その特殊性(重層下請構造、有期事業)から、元請事業主が労災保険に加入手続きを行い、その工事金額に応じて労災保険料を支払う義務があります。これにより、その下請人が使用する労働者も元請が補償することになっています。

 事業主がこの加入手続きを怠っていた期間中に事故が発生した場合、費用徴収が行われます。

 

労災保険の主な給付内容

療養補償

給付

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「療養の給付」と「療養の費用の支給」とがあります。

「療養の給付では、労災病院や指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関」)で、無料で治療を受けられる現物給付です。

「医療の費用の支給」は、近くに指定医療機関がないなどの理由で、指定医療機関以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養に係った費用を給付する現金給付です。

※原則として、給付は傷病が治ゆするまで行われます。

   
   
   
   

休業補償

給付

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療養のために休業する期間の所得保障。休業4日目から、1日につき給付基礎日額(平均賃金)の60%相当額、特別支給金として20%相当額。

※最初の3日間は、労基法上、事業主に支払義務があります。

   
   

傷病補償

年金

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傷病が治って障害が残り、身体に一定の障害が残った場合、その障害の程度が障害等級に該当すれば年金または一時金が支給されます。

   

障害補償

 給付

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傷病が治って障害が残り、身体に一定の障害が残った場合、その障害の程度が障害等級に該当すれば年金または一時金が支給されます。

   

遺族補償

給付

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生計維持関係にあった遺族の数に応じて、給付基礎日額の153日~245日分の年金を支給。

年金受給権者がいない場合、1,000日分の一時金が給付されます。

   
   

 

 

事業主・一人親方とその家族の特別加入について

 労災保険は、労働者の災害に対して給付を行うためのものであって、事業主・一人親方は保険の対象になっていません。原則として、健康保険も使えません。

 しかし、労働者と同じように現場で働く事業主については、業務の実態や災害の発生状況から、労災保険で保護することがふさわしくなります。この保護を図る制度を「特別加入」といい、事務組合に事務を委託し、労災加入をする特別加入を国が認めています。これが労働保険事務組合の最大のメリットです。  

法人は、役員全員が加入しなければなりません。

事業主と生計を一体にする同居家族は、原則として労働者に該当しないために、特別加入しなければなりません。

一人親方とは、「請負をしても、労働者を使わないことを常態とする人」です。人を使用する場合でも、「年間100日未満」であれば、一人親方として加入できます。

 (最短で翌日から補償!

 

  特別加入をして労災保険に入っていないと、業務上・通勤上に起きた災害に対しての補償はありません。すなわち、それが原因で生じた負傷・疾病・災害・死亡に対しての給付がされず、健康保険も使えないので、医療費等を全額自己負担しなければならなくなります。万が一に備えて、労災保険に入りましょう。